REDIAL -Just me and you- / Harji-Professor

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Harji-Professor『REDIAL -Just me and you-』

Harji-Professorによる甘美な多幸感にみちあふれたソウルフルかつファンキーなMIXCD!!

27曲74分の旅は、数年前に大ヒットした、至極のソウル・ミュージックのレゲエ・カヴァーから勢いよく始まり幸せの予感と香りが部屋に広がる。ロマンチックな物語と体の芯を突き動かすしたたかなグルーヴがある。
現行のネオ・ソウルやヒップホップをロング・ミックスとカット・インを織り交ぜながら、流麗に、そして力強くミックスしていく、その手さばきは見事で惚れ惚れする。メロウだが、音の鳴りが重厚なのは、このMIXに使用されている全ての楽曲がヴァイナルから録音されているからだろう。
後半のBPM68～70程度で進行する展開のころには夢見心地である。ブラック・ミュージックの最良のエキスを丁寧に抽出した本作は、一朝一夕で作られたものではない。熟練者の美意識に貫かれている。

一体このMIXCDを作ったHarji-Professorとは何者なのか。

彼は、埼玉北部／熊谷のヒップホップ・シーンでは言わずと知れた人物だ。1994年からDJとして活動を開始し、ビートメイカーとして初期の舐達麻や、熊谷の重鎮TIPをはじめ地元のラッパーたちに楽曲を提供してきた。
ここで思い出す記憶がある。僕がちょっと前に舐達麻のメンバーに彼らの地元を案内してもらったときのことだ。最終地点の彼らの秘密基地では、アンビエントやニューエイジのようなノンビートの音楽が、その場の時間をスロウにするように漂っていた。ああ、舐達麻の芸術の背景には、こうした豊かな音楽との付き合い方や時間の流れがあるのかとただただ感心したものだ。
Harji-ProfessorのMIXCDを聴くと、同様の感慨を抱く。
その土地には、その土地が育んだ美意識や時間感覚が根付き、受け継がれている。それは、時流に惑わされない独自の創造性を獲得するための必須条件にちがいない。
この『REDIAL -Just me and you-』は、そのことを伝えているという意味でも貴重な作品と言えよう。

二木信